「美しい」という言葉は女性の服に対する表現のように思われるかもしれません。
しかし、男性の服にも同じように「美しい服」はあります。美しい服の定義は難しいのですが、服の作り手が美しい服の価値を重んじ、顧客のために作ることを真摯に考えて作られる服とでも言いましょうか。
50代60代にはこのような作り手の想いが込められている服を着てほしい。
既製服でも同じように服作りにポリシーが現れているものを選びたい。
闇雲に服を探しても、仕立てても美しい服に巡り合えるとは限りません。
それにはある程度の服の知識が必要だったり、自身のサイズ感を把握していることも重要です。服に対する審美眼です。
美しい服は着る人をエレガンスに見せてくれます。野暮ったさが出ない。
どんなシチュエーションでもエレガンスを纏うことによって得られるメリットは計り知れません。
エレガンスを纏うことの魅力は、いつもの自分以上の自分を演出してくれることなのです。
美しい服を着る。年齢に重ねたわれわれ50代60代は、ただ単にコストとか見た目とかブランドに惑わされることなく服を選ぶ。
美しい服を得たければ、まずは本当に美しい服を見ることです。本物を見ることによって審美眼が養われます。
世の中は多くのコマーシャルに溢れています。あらゆる商品が自分のところのものが「いい」と言っています。
その中でどれを選ぶかの基準を自ら設けていかないと無駄なものに囲まれてしまいます。
美しい服はどこにでもあるわけではない。まずは美しい服のありかを調べる。わかればそこに行く。
何事も同じように行動してはじめて得られるものがあります。
ただ見ているよりも試着した方がわかることがもっとあります。
私がはじめて試着した某有名ブランドの服はその良さがわかりませんでした。どこがそんなにいいのか?
そして数年経ってもう一度そのブランドの服に袖を通して、はじめてやっぱり美しい服だなあと思い至ったのです。
すぐに審美眼が磨かれるわけではないにしろ、時間が経つにつれて少しずつ美しい服がわかってきます。
また、それ以上に長く着ることによって美しい服の良さが理解できるのです。
50代60代になって、何でお洒落をしたくなったのかを自分に問うことは大切なことです。目的がしっかりとしていると、やることがブレない。
ただ闇雲にファッション誌を見ることやネットのショッピングを繰り返してもお洒落になれるとは限りません。
50代60代には、30代40代とはまた違うお洒落があります。それ相応のスタイルがあるのです。
お洒落になるための目的は人それぞれでしょう。
例えば、
人前(講演、セミナーなど)で話さなければならないため。
部下の尊敬を集めたいため。
会食、接待に相応しくしたいため。
女性にウケたいため。
マスコミ対応をしたいため。
冠婚葬祭に出席するのため。
カッコいい経営者でありたいため。
みなそれぞれ目的に合致したベストファッションがあります。
特に格式があるシーンの場合はファッションを間違えられません。少しでも場に合わないファッションをしていると恥ずかしい目に遭います。くれぐれも気をつけてください。
さまざまなシーンやゴールが設定出来たら、合うファッションを考えていきます。
どのシーンでも年齢を考えて過剰にならないことが大切です。
コーディネート(組み合わせ)も大切な一つの要素ですが、ここでは色使いを重視したい。色のバランス次第で、目立ち過ぎ、くすみ過ぎがはっきりと現れます。
きっとこんな経験があるかもしれません。同じようなファッションをしている中でも際立ってお洒落で輝いている人。こういう人が本当にお洒落な人なんです。こんなファッションをしている人は半歩先を行っている場合が多い。
半歩先を行くことを掴むのも、お洒落になるための条件と言えます。
50代60代は特に目的意識をもって、ファッション向上に取り組んでいただきたい。なぜファッションなのか? なぜお洒落になりたいのか?
自問する中に答えはあります。あとは間違わずにファッションを学んでください。必ず半歩先を行くお洒落な人になれますから。
50代60代、年代物の服を未だに後生大事に持っていないかだろうか?
5年10年と変わらない服をそのまま着ていることはないか?
10年前だと50歳なら40歳のときの服になる。
ビンテージやデッドストック物ならいいかもしれないが、古過ぎて味がでるものは本当に少ない。
服は経年劣化することを覚えていてほしい。どんなに高価な物でも、いいと言われる物でも年月と共に形や色合いが風化していく。
オーセンティックな物も例外ではない。
ファッション誌で10年以上着込んでいる服を紹介していることがあるが、あれはお洒落上級者の拘りだと思ってもらいたい。
お洒落初心者が持っている10年選手の服とファッション上級者が持っている服は全く違う代物だ。
10年ひと昔。10年来着ている服はもう用済みにした方がいい。
洋服のサイクル劣化サイクルは速い。ただし皮革製品は経年変化を楽しむことができる稀なアイテムだ。
例えば革靴がそうである。いい革靴と言われているものは足に馴染むまで時間がかかることがある。
初めは足にしっくりこないかもしれないが、履き続けているうちに革が馴染んできて絶妙なフィット感が得られる。
もちろん長くいい状態で履くにはお手入れが必要である。
皮革製品の中でもバッグは劣化がしやすい。濃い色のバッグは四隅が擦れて色が剥げる。薄い色は四隅が黒く汚れる。
また持ち手も劣化しやすい。柔い革だと擦れてボロボロになる。こんなバッグを持っていると野暮ったくなる。
全体のバランスと共にディテールに注意を払うことも忘れてはいけない。細かいことだがファッションとはこういうものだ。
このように見ていくと、ファッション初心者は古いものを出来るだけ処分していくこと。クローゼットの中身はコンパクトで流動的な方がいい。
これから暖かくなる。昨年の春物の出し入れの準備に入るときは、ワードローブを見直す絶好のチャンス。シーズン毎にクローゼットの整理をすることで廃れた10年選手はなくなるはずだ。
ファッションセンスを磨いてお洒落になる。
お洒落な人はどんな方法でお洒落になったのだろう。
お洒落な人の中にはコレクター的な人、ミニマルな人、その中間くらいの人などファッションの持ち物だけでも違いがある。
コレクターは靴100。スーツ150着。なんて具合に圧倒的な数を誇っている。もちろんアイテム一つ一つは高価な物やレアなものが多い。
対極にはミニマリスト。必要最小限の持ち物しか持たない。お気に入りのワードローブを丁寧に扱うことで服の寿命を長くしている。
多くの物を買わないので、クローゼットはスッキリしている。
50代60代のわれわれはこんな人たちとは違いポリシーなき衝動買いの連続だったのだろう。所狭しと並んだ服は何の統一感もない。
こんな状況から脱出してお洒落になるには、正しい方法で対処はなくてはならない。
①正しい服を買う場所を学ぶ
50代60代にとっての服選びは簡単にはいかない。目指しているアイテムが置かれているショップが限られているからだ。
百貨店を除くと以下のような状況のラインナップになる。
ビームズ
ストラスブルゴ
バーニーズニューヨーク
トゥモローランド
銀座和光
伊勢丹メンズ 、阪急メンズ はファッショナブルなアイテムが揃う。しかし、規模が大きすぎて迷ってしまう。それを考えると、上記2店舗は除ざるを得ない。
ビームズ:セレクトショップ。サイズ展開が豊富なのがいい。できるならば、丸の内か六本木ミッドタウン店をお勧めする。
ストラスブルゴ
5店舗の中で最も新しいショップ。人気のブランド、ラルディーニとエドワードグリーンが豊富にある。
バーニーズニューヨーク
大人のためのセレクトショップ。海外デザイナー物からオーセンティックなアイテムまで広範囲に揃う。
トゥモローランド
ここのニットは秀逸。海外有名ブランドに匹敵するものを提供している。若干タイトめだが、質の良いアイテムが揃う。
銀座和光
この中で最も歴史あるショップと言えよう。オリジナルのオーダーメイドから既製服までラインナップ。ゆったりとした空間が魅力的である。
②体に合う服はどんなものかを学ぶ
買う場所が決まったならば、買うアイテムの選び方を学んでほしい。今まで何度も言っているように「サイズ感」があっていればカッコよく服が着られる。
サイズの合わせ方は肩幅を合わせ、前見頃、身丈、袖丈と合わせていく。肩が大きく落ちていたり、逆に狭く息苦しかったりではサイズが合っていないと言える。
ジャストフィットする既製服を探すことが大命題である。ここまでたどり着ければ8割は峠を越えたと思っていい。
③組み合わせ(コーディネート)を学ぶ
ワントーンコーデ、ワントーン+一色、三色の法則。
ワントーンコーデは同系色の色を組み合わせコーディネート。例えばネイビー〜ブルー〜サックスを使って同系色でまとめる。余分な色が入らない分、難しさは軽減される。
ワントーン+一色
上記の色にプラス一色を加えたコーディネート。例えば、ネイビー〜ブルー〜ブラウンという組み合わせ。
3色の法則
最大色数を3色にするコーディネート。色バランスが取りやすいがこのコーデのポイントだ。ネイビー〜ブラウン〜白。
④アイテムの組み合わせ方を学ぶ
コーディネートには色の他にアイテム同士の組み合わせがある。何と何を組み合わせれば、全体のバランスがよくなるかを学んでほしい。
ジャケット+ドレスシャツ+ウールパンツ+ネクタイ。
ジャケット+タートルネック+デニム。
ジャケット+カジュアルシャツ+コットンパンツ。
ジャケットを中心に考えるとこんな風な組み合わせができる。
⑤靴、バッグの選び方
黒革靴は必須。次にブラウン。黒の靴ならば、ベルトも黒で統一すること。
できればバッグも色を統一させたいが無理にとは言わない。
大まかに書いたけれど、こんなことを常に考えつつ、実践の試着を繰り返すこと。また、姿見に今日のコーディネートを映して、自らの着こなしはバランスが取れているかどうかをチェックすること。
以上
年齢からするとスーツやジャケットをオーダーで作っている人も多いのでは。
改めてオーダーメイドの服の作り方を考えてみたい。
オーダーメイドには数種類の方法がある。一つはフルオーダーメイド。採寸、生地選びから型紙を起こして依頼主の要望に応えていくまさにその人だけの一着。
もちろん価格はオーダーメイドと言われる中では一番高い。
ここでオーダーに関して勘違いしないように生地メーカーとアパレルメーカーについて書いてみる。
エルメネジルドゼニア、高級服地メーカーである。また同じくロロピアーナも高級服地メーカー。
日本で良く聞く服地ではダンヒルがある。ここは上記のメーカーとは異なり、生地は生産していない。厳選したものを買い付けてダンヒルのタグを付けて販売している。だから、生産まで担っている生地メーカーではない。
大体この3つが日本では人気のある生地メーカーと言える。
ここからが面倒なことで、それぞれの生地メーカーは自身のブランドを持っている。
エルメネジルドゼニア。ロロピアーナ。ダンヒル。基本はプレタポルテ(既製服)が主なラインナップ。中にはオーダーも受け付けている。
ここで言うオーダーメイドはそれぞれのブランドのオーダーであって、もちろん生地は自分はところのものを使用している。
これらのプレタポルテの服の詳細については割愛するが、作り主はエルメネジルドゼニア、ロロピアーナ、ダンヒルだ。
さて、これとは一線を成すオーダーメイドがある。ネットでも広告が打たれている、「ゼニア、ダンヒルのオーダースーツ」が〇〇万円。
この広告のフレーズは間違いではないが正確ではない。解説してみる。
ゼニア、ダンヒルの生地を使っている。それでも「ゼニア製」「ダンヒル製」とは言えるのか。
あくまでゼニア製生地を使ったオーダースーツであり、ダンヒル製の生地を使ったオーダースーツである、
ゼニア製と言うと、先ほど解説したエルメネジルドゼニアのプレタポルテ(既製服)となる。こちらはイタリー製。
ダンヒルも同様にダンヒル製と言うと、既製服のダンヒルを指す。
頭が混乱していたかもしれない。
故にエルメネジルドゼニアの生地使用。ダンヒル生地使用。と掲げればわかりやすいものを「ゼニア、ダンヒルのオーダースーツ」と書くから混乱するのだ。
私に言わされば誇大広告だと言える。ゼニアのオーダーを頼んだのにエルメネジルドゼニアのショップでは受付てくれない。
なんてことは当たり前なのだ。だってエルメネジルドゼニアのスーツではないからだ。
エルメネジルドゼニアのスーツはゼニアのショップでしか購入できない(オンラインも含む)。
もとい。エルメネジルドゼニアやロロピアーナのオーダースーツが10万円以下でできるわけはない。既製服でも40万はする。
だから、あまりブランド頼みのオーダーはやらないことだ。スーツにとって大切なのは生地だけではない。スーツ自体の作りも大切な要素である。
生地ばかりに意識がいって、仕立ての大切さ忘れている。仕立てはスーツの骨格になるものだ。高級な生地でも仕立てが悪いといいスーツ、着心地の良いするにならない。
スーツは生地と仕立てのバランスが大事なのだ。
われわれは不幸にして小さい頃からファッションを「学ぶ」機会に恵まれせんでした。
ファッションの教育を受けていません。学校の科目にもありません。家でも教えてもらった記憶もありません。こんな人が多いのではないでしょうか。
洋服の起源である西洋では、良く親から代々引き継がれていくものの中にファッションの教育があると言われています。
学生時代はファッションを学ぶと言えば、独学かファッション専門の学校に通うかの選択肢があるくらい。
ファッションの専門学校は、日常のファッションを学ぶのではなく、ファッションを職業にする人のための学校です。
だから、われわれを含め世の男性諸氏はファッションに疎くてもしょうがないと言えばそうなのです。残念なことです。
では、どうやってお洒落な人はお洒落になったのでしょうか?
中にはファッションの専門教育を受けた人、アパレル業界にもいるでしょう。でもそんな人ばかりではない。多くの人が独学でお洒落になったのです。
余談ですが、アパレル業界の人皆がお洒落だとは限りません。ちょっと考えた方がいい人もたくさんいます。
学生時代にお洒落だった人が年月が経過して会ったら、とても残念だったこともあります。同窓会ではよくある風景です。
学生時代にはそれなりにファッションに興味があり学んでいたのでしょうが、年と共に離れていった。
ファッションも他のジャンルと同じく教育、学びを継続しなければなりません。皆さんがお洒落になりたいならば、今日からでもファッションを学んでほしい。
50代60代でも学び方を間違えなければ、お洒落なるのは難しいことではない。一歩一歩堅実にはしょったらせずに学んでいってください。
何がダメかというと、基本がわかってないのに独断でお洒落をしてしまうことです。
ファッションは基本的ことからきっちり学べば、難しいことはないのですが、勝手にファッション、着こなしやコーディネートを捉えるとトンチンカンなファッションが出来上がってしまいます。
この「学び」はファッションの専門知識を得るのではなく、どうしたらお洒落になるかを学ぶのです。
いくら専門の知識があってもお洒落にはなれない。
ここで言うファッション基本とはお洒落になるためのものです。学ぶことはジャストフィットしたサイズのことやどういったショップが50代60代のファッションには適切かどうかなど実際に行動することです。
動くこと(ショップに行く。試着する。)よって、はじめて成果が出てくるのです。
お洒落になるには実践あるのみです。
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