こんばんは。金子マサオです。
大量生産、大量消費の時代を経て、多品種少量生産に向かっているように見えて、実は大量生産の時代から抜け出ていないように思います。
アパレル業界でも多品種少量生産が浸透してきました。同じものを大量につくることでロスが生まれるのを減らす狙いがあったのです。
ファストファッションの登場と同時に、大量生産、大量消費の道を進むことになりました。
ここは「効率」に支えられています。
安価にできるものはどこかに皺寄せがいくことでもあります。例えば第三国とか。工賃の安いところ安い所に生産拠点が移っているのが現状です。
まったく逆に高額なブランド品もあります。
実際にエルメスのお財布が約35万円。
正直言って馬鹿げた値段だと思います。
財布の機能は、たかがお札や小銭、カード類を入れる受け皿です。
私の場合、ブランドはさておき、お財布の作られかたに興味がいってしまうのです。
35万円のお財布はなぜそんなに高いのか?
その疑問はだいぶ前のこと、エルメスの店員さんが教えてくれました。
カードホルダーが5つ重なっているポケットを薄く均等にする処理は、並大抵の技術ではできないそうです。
熟練の職人だからできるのであって、生半可なつくり手では駄目。
もちろんそういう職人でも時間や手間がかかる。
なぜかこんな話を聞いていると、高級機械式時計と同じだと思ったものです。
効率的でないかもしれない。便利でもない。存在しなくてもいいかもしれない。
でも、値段に変えられない職人の卓越たる技法に支えられたモノは美しい。
それらはモノとしてある以上に、私には芸術的意味合いさえ感じてしまうのです。